こんにちは。
ピアズ・マネジメントの中林です。
『「課題先進国」日本で生きる』の四回目です。
皆さんもよく目にされると思いますが、メディアが人口問題を取り上げる機会は実は少なくありません。間接的なものも含めると、テーマとしてはかなり多い部類に入るんじゃないでしょうか。
ただ、直接我々が見聞きした範囲となりますが、業種・規模問わず経営者やマネージャ、自治体の管理職、中央省庁の官僚など、この種の問題に敏感だろうと思われる方々でも、全国はもちろん自県の将来人口推計と、そのインパクトを押さえている方はほとんどいらっしゃいませんでした。(もしまだの場合はココでご確認を)
誰しもが漠然とした危機感はあるものの、遠い将来の話であったり、国家レベルの話であったり、なんとかなるんじゃないのという他人事だったり、いずれにしても自らが積極的に関与する話ではないというイメージを持っている方が多いように感じます。
しかし、文字通りに避けて通れない問題ですから無関心は論外としても、無責任な悲観論も根拠のない楽観論もいずれも無益です。しっかりと眼を前に向け、希望を持って一歩ずつ前進するためには、まずこの現実を直視して、マクロ・ミクロの視点から自社のポジションをとらえ直してみることが必要となります。
そしてもう一点、さらに重要なことがあります。
それは、日本にはどの国もまだ経験していない未来の実験場があると考えて、個々の企業が新しいモデルを生み出すことに、自ら進んでチャンレンジすることです。
この実験場で生み出される未来の経営モデル・事業モデル・組織モデルは、成長戦略としての新たな投資先を生むはずですし、日本のあとを追うように次々と超高齢社会を迎える先進諸国やアジア諸国に対して、日本企業が提供できる巨大な価値になるのではないかと思います。
では、その新しいモデルはどうやって生み出されるのか。
何かいい解答があれば楽なのですが、こればかりはあるプロセスを経ると必ず良いモデルに行き着くというわけにはまいりません。ここで重要な成功要因となるのは、新しいモデルにたどりつくための飛躍を生み出す「土壌」です。言い換えると「人」であり「組織」あり「ソーシャルグラフ」です。今日の日本において最も重要な課題の一つとされているのは生産性の向上ですが、これを劇的に向上させるのは、この土壌の整備にかかっていると言って過言ではないでしょう。
超高齢社会という誰も逃れられないやっかいな問題に対処するためには、社会や経済活動の中核を担う6千万人ひとりひとりの劇的な生産性向上が必要不可欠です。
世界中が注目する未来の実験場「日本」において、一人ひとりが心の持ちようを変える、働き方を変える、組織を変える、社会のしくみを変える、ということに自ら進んでチャレンジし、その結果として国家としての競争力を高める新しいモデルを生み出していくことが、いま我々が取り組むべきことではないでしょうか。
「それは飛躍しすぎだ」というアイデアが飛び交う組織が、たとえば一つのモデルとして我々の頭の中にイメージされています。民間・公共問わずそんな組織が増えたら、日本を支配するこの嫌な空気をきっと変えられるんじゃないかと考えています。
次回は、「変革と人材育成にかける」をテーマにお送りします。