近年のテクノロジーの進歩はとどまるところ知りません。実用度の差こそあれ3Dプリンタ、量子コンピューター、人工知能、ロボットなど様々なテクノロジーが生み出されています。これらの技術は私たちにより快適な生活を与えてくれると思います。しかし、テクノロジーは使い手を選ぶ事が出来ません。もし、テロリストが近未来、実用度を増した3Dプリンタを手にしたらどうなるでしょうか。一つの可能性として、時と場所を選ばずにテロリストは3Dプリンタを用いてピストルもしくはより高度の武器を製造できるようになるでしょう。既に3Dプリンタ用のピストルがオープンソースにアップロードされており、どの程度の性能かはわかりませんが、3Dプリンタによるピストルが作らています。(*2013年2月3日現在、WikiWeaponsから3DGCピストルは削除済み。)私たちは3Dプリンタ等のハイテクノロジーを諦めて安全を手に入れるのか、悪意ある使用によるリスクを覚悟の上でハイテクノロジーから得れる利便性を享受するのかを選択しなければならない日が近い将来訪れると思います。
マーク・グッドマン 「未来の犯罪の姿」
テクノロジーの急速な発展によって犯罪の状況が悪化していく暗い未来の姿を雄弁に描いています。
PW Singer on military robots and the future of war
人間の兵士に代わり、ロボットの兵士による軍隊が組織されつつある現状を説明しています。
アンソニー・アタラ 「臓器を印刷する試み」
初期段階の実験、生きた細胞を使った3Dプリンタによって移植可能な腎臓を出力する過程の話しを語っています。
このように、テクノロジーは私たちに明るさと暗さ両面を見せてくれます。1991年、フィル•ジマーマンは政府当局、悪意のある者からプライバシーを守るために、通信の暗号化ソフトウェアPGP(当時の技術だと、解読はほぼ不可能)を開発して、それを友人に頼みUSENNET(国際的なネットワーク)の掲示板に無料掲載しました。その結果、USENNETに接続出来る者なら誰でもPGPをダウンロードできる状況になり、大衆は安全に通信を行なえるようになり喜びましたが、それ以上にテロリスト、麻薬の売人などが大いに喜びました。PGPを使った通信をFBIは盗聴できても、内容は解読出来ないため、犯罪組織は安心して悪事の内容をやり取り出来るようになったからです。FBIの怒りの矛先はジマーマンに向き、ジマーマンは武器商人としてFBIから追求を受ける立場になりました。アメリカ国内に大論争を起こす事になった自由陣営と法規制陣営の対立は、3年の審議の末に自由陣営の勝利となり、ジマーマンの名誉は回復されました。私たちがAmazonなどで安心して買い物が出来るのはリスクは承知の上で、暗号化ソフトウェアの普及を容認したためです。テクノロジーとリスクのトレードオフは今後も発生し続けます。最後に決めるのは、私たち自身です。私たちが考える事を放棄した時、HAL9000が人類に代わり選択する作業を行なうようになるのかも知れません。
デイモン・ホロビッツは道徳のオペレーティングシステムを提言する
*US版PGPをダウンロードした場合、USの輸出法に触れる可能性があります。 *3DGC•3Dプリンタによるピストルを製造した場合、日本法に触れる可能性があります。
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