衰退、そして創造と再生〜ルネサンスと日本文化 I 〜

「失われた20年」

そんな言葉を誰もが100回や1000回くらいは聞いたことがあるでしょう。失われた20年。なんとなく響きも良いです。良い感じでどんよりします。特にメディアを通じて、こんな暗い内容ばかり流されると、20年間を無駄にした政府や政治家を批判したくなるんです。人の性です。

ここではこの20年の日本の政治がどうだったかは別として「失われた20年」という言葉をもう少し掘り下げて考えてみたいと思います。まずは、この20年で一体何が失われたのでしょうか?日本の領土?日本の金融資産?日本の人口?

実際にはそんなに色々と失ってはいません。そりゃ株価はバブルの頃よりは下落したかもしれませんがGDPはほとんど横ばいでキープしてます。むしろ、この20年は為替に翻弄され、景気後退局面にあるにも関わらず厳しい円高が続いていましたが、それでも踏ん張ってきた日本経済ってものを考えると、日本の底力を見せつけられる思いがします。

確かに政府の借金は増え続けているし、税収は落ち込んでいます。少子高齢化はますます加速し、グローバル化の波は否応なしに日本にもやってきているのが現状で、それはそれで大変ですが、こんなの仕方のないことです。日本政府だけでどうにかなるもんでもありません。よく、日本は外圧がなければ変われない、なんて言われますが、本当のところそれは日本に限ったことではないのかもしれません。

フィレンツェの景色 © Francisco Antunes

14世紀にヨーロッパでルネサンスが興りました。こんなことは社会の授業で習ったのでみんな知っているでしょう。ヨーロッパでルネサンスによる文化の花が開き、ダ・ヴィンチ(1452〜1519)やミケランジェロ(1475〜1564)などの巨匠が活躍していた時(15世紀〜16世紀)、日本では何が起きていたでしょうか。

応仁の乱(1467〜1477)です。応仁の乱が収束した後も、各地で内戦が続き、最終的には全国を巻き込む戦国時代がやってくることはご存知の通りです。僕たちは、ルネサンスと応仁の乱を、社会の別の授業で習いました。少なくとも、この2つの歴史的事象に強い相関関係があることは教わった覚えがありません。しかし、物事には大概原因というものがあり、それをひとつずつ紐解いていくと、これまで見えていなかったものが鮮やかに浮かんでくるのです。

次回は、ルネサンスと応仁の乱の関係を見ていきます。

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